「北欧やブータンは、GDPより幸福を重視して、内需でじっくり育っている国々だ」──そんなイメージがよく語られます。
でも本当に、内需だけで経済成長は可能なのでしょうか?
北欧:福祉と輸出がワンセット
北欧諸国は高福祉・高税負担で「質的成長」を推進しています。
しかし実際には、輸出依存度が非常に高い国々でもあります。
スウェーデンはボルボ、エリクソン、IKEA、デンマークはノボノルディスクや風力タービン、フィンランドはノキアやゲーム産業、ノルウェーは石油・天然ガス。
人的資本への福祉投資が、そのまま輸出競争力に接続しているのです。
ドイツ:分配と競争の両立
ドイツも「社会的市場経済」を掲げ、労働者保護や福祉に厚い国です。
同時に、自動車・機械・化学分野で世界有数の輸出大国でもあります。
職業教育のデュアルシステムは技能を高め、輸出産業に直結。労使共同決定は安定と効率性を両立。
分配と競争力がワンセットになってこそ、質的成長が可能になっています。
ブータン:幸福の国も外需で成り立つ
「国民総幸福量(GNH)」で知られるブータン。内需で幸福追求しているように見えますが、国家財政を支えるのは外需です。
水力発電をインドに輸出し、「幸福の国」ブランドによる観光収入を得る。ただしコロナ禍では観光が止まり、大きな打撃を受けました。
ここでも「質的外需」=付加価値戦略が鍵です。ブータンが外需を失った瞬間に経済は苦境に陥ったことは象徴的です。
理論的背景から見ても外需は不可欠
学術的な経済理論も、この点を裏付けています。
人的資本理論(シュルツ/ベッカー)は教育や健康への投資が生産性を高めると説きますが、人口が少ない国では外需市場に接続しなければスケールできません。
内生的成長理論(ローマー/ルーカス)は技術革新や知識蓄積を成長の原動力としますが、真価を発揮するのは大きな市場に接続したときです。
幸福経済学(イースターリン・パラドックス)は一定水準を超えると所得増は幸福度を上げないと示しますが、北欧の幸福度が高いのは外需で得た富を分配しているからです。
持続可能な開発論(SDGs)は環境・社会・経済のバランスを求めますが、再エネ技術などは輸出産業化されてこそ持続性を伴います。
結論として、質的成長の理論は現実には「外需接続」とセットでなければ成立しません。
日本の政党マトリクス
では、日本の政党は外需と付加価値戦略をどう扱っているのでしょうか。
| 政党 | 外需戦略 | 付加価値戦略 | コメント |
|---|---|---|---|
| 自民党 | ◎ 強い(インフラ輸出・GX・原発・農産物ブランド) | ◯ 農業ブランド・クールジャパン | 国家戦略的に輸出重視 |
| 維新 | ◎ 強い(国際金融都市・万博・インバウンド) | ◯ 地域ブランド(大阪発) | 規制緩和で競争を促し、外需取り込み |
| 国民民主 | ◯ 中程度(半導体・AI・電池) | △ 技術投資重視、ブランド色は弱い | 技術投資は厚いが輸出戦略は曖昧 |
| 公明党 | ◯ 中程度(自民に準拠、観光・GX) | △ 庶民視点重視 | 外需は自民と連動、差別化弱い |
| 立憲民主 | △ 弱い(GLLDは内需中心) | △ グリーン・地域活性 | 輸出戦略の色は薄い |
| 共産党 | △ 弱い(協調貿易) | × 差別化戦略なし | 外需を競争ではなく協調で語る |
| れいわ | × 無し(内需・公共投資) | × 無し | 完全に国内志向 |
| 社民党 | × 無し(福祉・脱原発) | × 無し | 外需ゼロ、差別化ゼロ |
| 参政党 | × 否定的(自給中心) | ◯ 食・教育・文化資源 | ブランド視点はあるが外需拒否 |
北欧やドイツのように「質的成長と外需の両立」を設計しているのは自民・維新。国民は技術投資で近づきつつも付加価値設計が薄い。他党は内需と分配に偏りがちです。
経済成長の源泉は自然
結局、お金の源泉は自然資源です。
農産物や鉱物、石油、風力や水力といったエネルギー──これらが基盤となり、加工や技術革新で付加価値が生まれる。
自由競争とは、自然が毎日生み出す資源をどの国が最も効率的かつ魅力的に商品化するかの合戦です。
ブータンは水力と観光でそれを示し、北欧は資源と技術で実践しています。
おわりに
北欧やブータンは「内需で幸福追求している国」と思われがちですが、実際には外需を戦略的に組み込み、付加価値で勝負しています。
内需だけで経済が成長するというのは幻想です。
成長とは、自然資源をどう料理するか合戦。その舞台は避けようのない国際競争なのです。
夢を壊すようでごめんね。
でも経済って、やっぱりそんなに甘くないんです。
ちゃんちゃん。


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