私がインテリアを考えるとき、大切に思うのは「照明」と「植物」です。
空間の色・形・素材・光・余白を際立たせる要素として、この2つの役割は大きいと思います。どんな家具も、照らす光と照らし方でその印象はがらっと変わり、植物が持つ天然の色と形の複雑性はどんな空間も演出をする余白を生みます。 今回は、ちょっとマニアックで個性的な15スタイルを取り上げながら、空間の色・形・素材・光・余白をどう活かすかを見ていきます。
1.アール・デコ

直線と円弧が織りなす幾何学模様に、黒やゴールドの強い配色、大理石やクロムといった硬質素材が空間に緊張感とモダンなラグジュアリーを与えます。華やかさの中にも整然とした秩序があり、余白は意図的にシャープに切り取られます。
植物は、艶のあるモンステラやパキラなど大ぶりな葉をエレガントな鉢カバーに収めてアクセントに。
照明は、真鍮フレームとフロストガラスの幾何学ランプで、彫刻的な光の陰影を演出します。
家具は、Maison JansenやÉmile-Jacques Ruhlmannの復刻品を取り入れることで、時代を超えた品格が漂います
2.アール・ヌーヴォー

柔らかく流れる曲線、植物や昆虫のモチーフ、乳白色やくすんだパステルの色彩が空間を包み込みます。木や鉄をしなやかに曲げた素材づかいと、リズム感のある装飾が「動きのある静けさ」を生み出します。
植物は、シダ系やアイビーで生命感を窓辺に。
照明は、ステンドグラスに柔らかい光が空間を幻想的に染めます。
家具は、Hector GuimardやLouis Majorelleの有機的な曲線を持つアンティークで統一すると美しい統一感が出ます。
3.メンフィス(80年代イタリア)

原色×奇形×異素材。反骨と知性を同時に感じさせるこのスタイルは、ルールを壊すことで空間に強烈な個性を宿らせます。色と形がぶつかり合う中で、余白には“ノイズとしての静寂”が作用します。
植物は、シルエットの強いサボテンやドラセナを使い、あえてチープな鉢で遊びを加えます。
照明は、ポストモダンの象徴「Superlamp」などで、空間のリズムを崩して楽しみます。
家具は、Memphis Milanoの本家アイテムやKartellのビビッドな復刻家具で、非日常感を全開に。
4.ブルックリンスタイル

ラフな質感の古材やレンガ壁、無骨なアイアンとレザーが織りなすこのスタイルは、都会的でありながらどこか手作り感の“温度があるインダストリアル”。色は濃淡ブラウンやグレーを基調にし、形は直線的で潔く、空間には未完成の余白が心地よく残されます。
植物は、アロエやユーフォルビアなど多肉質のものを無骨な鉢で床置きにするとバランスが取れます。
照明は、スチール製の工業用ペンダントでブルックリン地区のムードと光の温もりをプラス。
家具は、Restoration Hardwar等のヴィンテージ感あるアイテムで素材感を強調します。
5.ロココスタイル

曲線と装飾が豊かに絡み合い、パステルカラーに金彩が映える華やかで軽やかなスタイル。素材は木材に彫刻や金箔を施したものが中心で、光はシャンデリアを通じて優雅に拡散し、余白には“物語のための空白”が広がります。
植物は、ラベンダーやバラなど香りのある小ぶりな花を陶器ポットで愛らしく配置します。
照明は、クリスタルシャンデリアが絶対的な主役。光と影のゆらぎが空間にロマンを宿します。
Roche Boboisのクラシックラインやフランスのアンティーク家具なら、正統なロココの風格を演出できます。
6.ヴィクトリアン

印象的なファブリックや重厚な木材、繊細で彫刻的なデザインの家具など、19世紀英国の重層的な様式美を体現するスタイル。色は赤系やグリーン系が中心で、素材にはベルベットやマホガニーなどが多用され、陰影を生かしてドラマチックに展開されます。
植物は、フィカス・ベンジャミンやシダなど湿度を好む植物をクラシカルな鉢に。
照明は、布製シェードやステンドグラスのフロアランプで、控えめな光と奥行きを与えます。
家具は、Laura AshleyやDurestaの英国老舗ブランドを選ぶと、気品と安定感が備わります。
7.チャイニーズトラディショナル

白・黒・茶を基調とした高いコントラストに、漆や彫刻的な造形美が映える、東洋の伝統が息づくスタイル。直線と対称性を重んじる配置に、余白は「間(ま)」として静寂と格調を持たせる空間設計が求められます。
植物は、盆栽や竹、金魚草など東洋的な植物を使い、精神性と自然美を引き出します。
照明は、透かし彫りの木製ランタンや中国提灯スタイルの間接照明で、やわらかく奥行きのある光を演出。
家具は、Shang Xia(エルメス中国ブランド)やLoomcraftの彫刻家具で格式あるアクセントを。
8.スチームパンク

真鍮、レザー、歯車、リベットなどの素材を組み合わせ、産業革命時代の機械的美学と空想科学を融合させたファンタジックな世界観。色は焦げ茶やブロンズが主軸で、光の反射や影の落ち方まで計算された、物語の舞台装置のような空間に。
植物は、エアプランツやシダ系を試験管や金属フレームで装飾的に配置します。
照明は、歯車や配管を活かした真鍮製のDIYランプで、“装置感”を空間に持ち込むのが肝。
家具は、RivetやRH Industrialの無骨で重厚なアイテムで、舞台装置のような実在感を支えます。
9.サファリスタイル

ラタン、リネン、木材などの自然素材をベースに、アースカラーを基調とした“静かな野性”を空間に落とし込むスタイル。形はゆるやかで有機的、素材は呼吸するように空間に馴染み、余白には冒険の余韻を残します。
植物は、パキポディウムやアガベなど砂漠系のフォルムを持つものが空間に力強さを与えます。
照明は、ラタンやキャンバス地のシェードで柔らかな自然光のような拡散を意識。
家具は、EthnicraftやTRIBE Homeの手仕事感ある家具が、大地とのつながりを感じさせます。
10.サーフスタイル(西海岸)

ホワイトとブルーを基調に、ウッドやリネンの軽やかな素材感で構成されるこのスタイルは、光と風が抜けるような開放感を大切にします。形はラフでカジュアル、空間には余白がたっぷりととられ、リラックス感と抜け感が共存します。
植物は、サボテンやカラテア、オリーブなど乾いた風合いのものを選び、自然体の魅力を添えます。
照明は、白木や麻紐を使ったペンダントライトで、太陽光のようなナチュラルな明るさを演出。
家具は、Malibu FurnitureやSerena & Lilyの明るく軽快なデザインがぴったりです。
11.エクレクティック(折衷主義)

スタイルを“選ばない”スタイル。異なる時代や文化の要素を自由に組み合わせ、色・形・素材のミックスによって個性を表現します。秩序を意識したカオスが成立するためには、余白の取り方と色調のバランスが重要な鍵になります。
植物は、多肉植物や観葉植物、切り花まで幅広く取り入れ、変化のある視線を生み出します。
照明は、北欧モダンと中東ランプのような異素材を組み合わせて、想定外の調和を楽しみます。
家具は、Anthropologie HomeやBoConceptなどのアクセント家具で、個性と品の両立を狙います。
12.ゴシック(中世風)

尖塔アーチやアイアン装飾、深い色彩のステンドグラスが作り出すのは、荘厳で神秘的な世界。色はボルドー、ディープブルー、ブラックが主で、石や鉄など重厚な素材が空間を支配し、光はドラマティックに演出されます。
植物は、黒法師やクロトンなど濃い葉色のものを選ぶと雰囲気が引き立ちます。
照明は、アイアン製の燭台風ライトやキャンドルホルダーで陰影を深め、幻想的な空間に。
家具は、ZentiqueやCastle Furnitureの中世風アイテムで空間の骨格をつくります。
13.ミリタリースタイル

カーキ、オリーブ、ベージュを中心としたカラーパレットに、金属や帆布、アルミコンテナといった実用性重視の素材が融合する、無骨で機能的なスタイル。直線的でシャープな形状が多く、余白には“空間の訓練性”を感じさせるストイックな印象が宿ります。
植物は、サンスベリアやユーカリなど直線的で乾いた雰囲気の植物を取り入れると、静かな生命感が引き立ちます。
照明は、軍用品をリメイクしたランプやキャンプ用LEDライトで実用美を照らします。
家具は、FloydやSnow Peakのアウトドアテイストを持つアイテムで、都市的な洗練を加味します。
14.トライバル

アフリカやアジア、ネイティブアメリカンなど、部族文化に根ざした文様や素材を取り入れたスタイル。色はテラコッタや土色、黒を基調とし、有機的で歪んだ形状、手触りのある素材が主役。余白は布や壁面に施された模様で“満たされる空白”として機能します。
植物は、アロエやバオバブ盆栽など、その土地に由来する個性的なものを厳選します。
照明は、陶器や手編みのランプシェードが光の模様を壁に映し、空間にリズムを生み出します。
家具は、TantuviやNkukuなど、手仕事とフェアトレードを重んじるブランドを選ぶと調和します
15.ゼンスタイル

静けさ、簡素、美。禅の精神を空間に落とし込むこのスタイルでは、色は白、墨、淡木などの無彩色、素材は石や竹、和紙など自然由来のものが中心です。形は極限までそぎ落とされ、余白は「空間の呼吸」として積極的に設計されます。
植物は、盆栽、苔玉、シュロチクなどの“静かな植物”を最小限に。
照明は、イサム・ノグチの「AKARI」シリーズなど、光そのものが静寂を伝えるようなものを選びます。
家具は、Karimoku Case StudyやTime & Styleの和モダン家具で、凛とした佇まいを仕上げます。
おわりに:整わない美しさ、はみ出す品格
今回ご紹介した15のスタイルは、どれも少しだけクセがあり、でもだからこそ愛おしい空間ばかりです。
色や形、素材で遊ぶこともできますが、「光と植物」が加わるだけで空間に命が宿ります。
誰かの真似ではなく、あなたの「好き」をかたちにするヒントとして、どれかひとつでも心に残ったスタイルがあれば嬉しいです。
“ちょっとだけ違う”を、ぜひあなたの部屋にも。
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