現代における報道倫理と多様な関係性の尊重

なんつってね

芸能人や著名人の「不倫報道」が繰り返される現代において、私たちはその報道のあり方に改めて目を向ける必要がある。これらの報道が当事者の同意や意思を無視し、排他的な倫理観に基づいて一方的に糾弾するものであるとしたら、それはもはや単なるゴシップを超えた、構造的な問題を孕む行為である。

本稿では、ノンモノガミー(非一夫一婦制)と呼ばれる多様な関係性に注目しながら、現代の報道倫理を再検討する。そして、どのような立場から他者の関係性に向き合うべきか、またメディアが果たすべき役割とは何かを考察していく。

不倫報道の構造的問題

不倫報道は、往々にして「道徳的逸脱の糾弾」として消費される。しかし実際には、それは当事者同士の私的な問題であり、他者が一方的に裁断できるものではない。たとえば、パートナー間で関係性がオープンであることに合意している場合でも、社会は「一対一の排他的関係こそ正しい」という前提から逸脱として報じがちである。

さらに深刻なのは、パートナー自身が沈黙している、あるいは事態の公開を望んでいないにもかかわらず、当事者の私生活がメディアによって暴かれるケースである。このような報道は、当事者の尊厳を傷つけ、報道の名の下に搾取や暴力が行われているとも言える。報道の公益性が担保されない限り、それはむしろ個人のプライバシーを侵害する行為でしかない。

ノンモノガミーと「同意」の多様性

ノンモノガミーとは、排他的な一対一の関係性(モノガミー)に限定されない、複数の恋愛・性愛関係を認め合うライフスタイルや関係性の在り方を指す。その形には、ポリアモリー(複数恋愛)、オープンリレーションシップ(非排他的関係)、スウィンギング(カップル間の合意的な関係交換)などが含まれる。共通して重要なのは、関係者全員の合意と尊重に基づいて関係が築かれている点である。

ノンモノガミーにおける理想形は、関係者全員による知情合意であると言われる。しかし実際の関係性には、「知りたくない自由」や「詳細な情報をあえて求めないという配慮」が存在する。たとえば、「家庭に持ち込まない」というルールの下で、互いに踏み込まないことで関係の安定を保つケースもある。

このように、「透明性」一辺倒ではなく、むしろ関係者同士の繊細なバランスの上に成立する合意のあり方がある以上、それを理解せずに一律の倫理観で批判することは、多様な生き方への無理解であり、場合によっては差別的行為とさえなりうる。

一見「抑圧」に見える関係の尊重

現代の倫理的視点では、古い価値観に基づいた関係性が「女性差別」「男性の搾取」として見られることがある。たとえば以下のような関係性がある:

  • ケース①:「どこで誰と浮気しようが男の甲斐性だが、それを家庭には持ち込むな」と言う妻。これは一見、我慢を強いられる女性の構図に見えるかもしれない。しかしこの発言が、彼女自身の主体的な合意であり、家庭の平穏を守るための戦略であるならば、外部が一方的に「搾取だ」と決めつけることこそ、当人の意志の軽視となる。
  • ケース②:「好きになった人にたまたま妻がいただけ。私は日陰の身でかまわない」と語る第三者。このような立場も、外部から見れば「都合の良い女」と評されるかもしれない。しかし、当人が自らその関係性に価値を見出しているとすれば、それを搾取と決めつける行為は、むしろその人の主体性や自由な選択を否定する暴力になりうる。

いずれのケースも、「表面的な抑圧の構造」だけを見て断罪することは危険である。真に重要なのは、当事者がその関係をどう捉え、どのような合意と納得のうえで成り立っているかという点だ。関係性を評価する際、私たちは自らの倫理観を押し付けることなく、当人の語りに耳を傾ける姿勢を求められている。

倫理と自由の共存に向けて

ノンモノガミーをめぐる議論は、単にその価値観が「優先されるべき」かどうかではなく、いかに「共存」できるかの問題である。人には「見たくないものを見ずに生きる自由」もあれば、「存在しているものとして尊重される自由」もある。これらが衝突する場面で、私たちはいずれかを排除するのではなく、どうすれば両者が共に在れるかを考えなければならない。

コンプライアンスとは、固定された規範ではなく、社会的合意の変化と共に動的に形成されるものである。つまり、「今は正しい」とされていることも、時代とともに問い直される必要がある。特に公人の振る舞いに対しては、過去の道徳規範ではなく、現代の多様な価値観を反映した新たな倫理の枠組みが必要である。

結論として、ノンモノガミーが「優先される」べきだから尊重されるのではない。他人の生き方が自分と違っていても、それを尊重する姿勢こそが、成熟した社会の基盤なのである。

今ここの倫理とは

現代は、人間関係の形も価値観もますます多様化している。ノンモノガミーをはじめとする非伝統的な関係性は、もはや例外ではなく、一つの選択肢として広がりを見せている。

このような時代において、報道が果たすべき役割は、他者の生き方を断罪することではない。むしろ、当事者の語りに耳を傾け、その選択を支え、尊厳を守ることである。他者の合意に基づいた関係性を、旧来的な価値観に照らして一方的に裁くことは、現代の倫理から逸脱している。

「今ここの倫理」とは、他者の自由な生き方を支える寛容さと、沈黙の権利をも尊重する想像力に支えられた態度に他ならない。

用語解説
  • モノガミー:一対一の排他的な恋愛・性愛関係(伝統的な結婚制度など)
  • ポリガミー:一人が複数の配偶者を持つ関係。文化や宗教によって形は異なるが、通常は婚姻制度に基づく。
  • ノンモノガミー:一夫一婦制に限定されない、多様で非排他的な関係性の総称。合意と尊重を前提に、多くの形が存在する。

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